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アートのちカラ、デザインのちカラ

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2005年 08月 15日

テレフォンカード・ケース・デザイン(1992年)

以前説明したように、日立クレジット(現日立キャピタル)の要請で障害者アートバンク(現アートビリティ)を知り、関わるようになったわけであるが、その日立クレジットでの記念すべき最初の仕事が、テレフォンカードを収める紙のケースのデザインであった。

テレフォンカード・ケース・デザイン(1992年)_e0031863_11534856.jpg


当時はまだ公衆電話が全盛の頃であり、テレフォンカードも企業のノベルティーグッズとして大いに重宝がられていた。日立クレジットにおいても日本の郷土玩具をテーマにシリーズ化され、ロングセラーの販促ツールとなっていた。そのテレフォンカードを2枚セットで贈るためにデザインしたのがこのケースである。
ケースの内側に障害者アートバンクの登録作品を使用するということで、決定したのが京極玲子(1956〜1996)さんのモミ絵「早春賦」。初めての作品使用ということで、選定には苦労したが、モミという素材のもつユニークさと、モミを縦にした時の幅が一番細い線になるという制約から逆に大胆な構図が生まれ、それが暖かな質感の作品を生みだしている京極さんの絵に決まったのだった。
モミ絵というのは事前に着色したもみ殻を、下絵を描いた台紙にのりで一粒一粒貼り付けて絵を描いていく手法で、脳性小児マヒによる四肢機能障害の京極さんはピンセットが使えず、団子の串を指の間に挟んで、一枚の絵につき約7,000粒のもみ殻を貼り付けていったのだった。
残念ながら京極さんは1996年に亡くなったのだが、一枚の絵を完成させるのに、もみ殻の選別から始めて1ヶ月から1ヶ月半かかったという彼女のモミ絵は、今でも多くのファンを魅了し続けている。

by LunaSmileDesign | 2005-08-15 12:32 | 企業の販促物


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