2005年 08月 01日

レコードジャケット「エッシェンバッハによる/ピアノ・レッスン・シリーズ」のアートワーク(1979年)

美大のデザイン科を卒業して、これまで30年近く自分の職業としてデザインと関わってきたわけだが、今でも記憶に残り、しかもささやかながら誇りをもって語ることのできる仕事がいくつかある。

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卒業後最初に就いた職業がレコード会社のグラフィック・デザイナー。僕はポリドールレコードというところでクラシックを中心にレコードジャケットのデザインに携わっていた。
これはその中でもとりわけ印象深く、少しぐらいの自慢なら許してもらえそうな僕のお気に入りのジャケットデザイン。
1979年に発売されたこの「エッシェンバッハによる/ピアノ・レッスン・シリーズ」ではジャケットのビジュアルとしてねむの木学園の園生が描いた絵を使用している。
そのいきさつをお話しすると・・・。
クラシックの制作部長から、「ドイツのピアニスト兼指揮者・クリストフ・エッシェンバッハがバイエルとかツェルニーとかソナチネとかのピアノの練習曲だけを演奏したレコード全集を日本国内仕様で再発売することになった。ついてはそのレコードジャケットのデザインをオリジナルで制作するのでアイデアを出して欲しい。」との依頼が僕にきた。実はこの話がくるほんの数日前にテレビの朝のニュースワイドショーか何かで、ねむの木学園の園生が描いた絵を集めた画集の紹介があって、宮城まり子さんのお話とともに彼らの絵を見て強く心を揺さぶられ、いつかこの絵をレコードジャケットに使いたいと思っていた矢先なのであった。これは絶対うまくいく!という強い思いに武者震いしながら、画集を紹介している雑誌から絵を切り抜き、ジャケットのダミーを作りプレゼンしたことを思い出す。アーチスト肌のクラシックの部長は一も二もなく気に入ってくれ、早速、ゴーサインが出た。
上野毛の宮城まり子さんのお宅に伺い事情を説明すると、ジャケットへの使用を喜んで承諾してくれた。それから、シリーズ22枚分の絵の選択。画集「ねむの木の詩」第2集を編纂中のため原画が大日本印刷にあるというので、制作部長をはじめクラシックの担当者共々出向いて選ぶことにする。が、これが実は大変な作業であった。というのも、使いたい絵が沢山ありすぎて絞り込むのに一苦労だったからである。
原画は思い思いの大きさの画用紙にマーカー(マジックインクだったかも)で描かれ、色の発色の良さと、何よりも自由なイマジネーションに溢れたテーマが僕らには新鮮な驚きだった。
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これには実は後日談がある。このレコードのオリジナルはドイツグラムフォンで、日本でジャケットを変更する場合、アーチストのチェックを受けなければならなかったのだが、当のエッシェンバッハ本人がたいそう気に入ってくれて、その後、彼とねむの木学園の園生や宮城まり子さんとの交流が始まったのだった。そして、その交流は今でも続いているという。
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# by LunaSmileDesign | 2005-08-01 00:00 | レコードジャケット