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アートのちカラ、デザインのちカラ

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2005年 09月 19日

「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」のこと─其の弐─

ここで現在のアートビリティ(旧称・障害者アートバンク)と、「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」との名称の関連について簡単に説明すると、僕らの「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」は残念ながら1999年には実質的な活動を停止していた。その後個人的には復活を目指していたが、障害者アートバンクの母体である東京コロニーが2001年に50周年を迎えるに当たり、かねてから障害者アートバンクの名称変更を模索していて、その50周年を節目に変更したい旨の相談を受け、名称の譲渡を提案した訳である。
実はアートビリティの名称そのものは「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」を設立した時点で、僕のクライアントであるある企業を通して商標登録を済ませてあった。
ということで2001年に僕のクライアントから譲渡というカタチで正式に障害者アートバンクにアートビリティの名称が移ったのである。

さて、ポストカードの制作・販売から始まった「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」であるが、障害のあるアーティストの作品をデザインという行為を通して商品化するというのが、実は大きな目標だった。それにはアートビリティの理解と応援が必要ということで、活動報告をメインに「アートビリティ通信」を季刊誌として発行することにした。

「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」のこと─其の弐─_e0031863_1921310.jpg
創刊号は1994年11月発行。A4で4ページ、500部の発行であった。
表紙で僕らの「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」設立の趣旨を高らかに謳っている。今読み返すと気恥ずかしいが、あえて全文を紹介する。

─障害者アート専門の企画団体が発足─
障害者アートを専門に扱う企画団体が、有志5人のデザイナーたちによってつくられました。その名もアートビリティ・アンド・アソシエイツ。アートビリティとは、アートの可能性を意味する造語です。障害者の芸術を本格的に商業デザインの中に取り込んでいこうという試みは珍しく、その成果が注目されています。

 アートビリティ・アンド・アソシエイツは、1994年5月にグラフィックデザイナー西田克也を中心にして、生まれました。この団体は、障害者アート専門のプランニングセンター。障害を持った人たちの美術作品をデザインの現場で活用し、社会参加につなげていこうというものです。
デザイン関係の仕事に携わる人で、自分たちの仕事の内容に時々さびしさを感じてしまう人はいないでしょうか。そんなあなたは、アートビリティの仲間になる資格が十分にあります。自分はデザイナーでないけれど、製品をつくるのであるならば、社会的に意味のあるデザインを取り入れるべきだと考えているあなたにも、ぜひとも仲間に加わっていただきたい。アートビリティでは、私たちの運動に協力してくださる力強い味方を大募集しています。
 そもそも、デザイナーの役割とは人ともの、人と人、人と社会といったさまざまなコミュニケーションの理想的な仕組みを社会的、倫理的な視点で創ることです。果たして、私たちは、あまりにも効率性、利便性のみを追求しすぎてきたのではないでしょうか。
 今からさかのぼること20年前、インダストリアルデザインの世界で来るべき未来に向けて警鐘を鳴らしていた人がいました。ヴィクター・パパネックは、1971年に出版された『生きのびるためのデザイン』の冒頭でこう記しています。「いまやデザイナーは危険な職種となった。マス・プロダクションのなかで人目を引く〈刺激的〉なだけのデザインがまかり通り、不必要なだけでなく有害な製品が地球を汚し続けている。本来、デザイナーには強い社会的、道徳的責任感が要求される。また、デザインに実際に関係する人々には、公衆についての理解の深さが要求されると同時に、一般の人々には、デザインの成り行きを見る目が要求されるのである・・・」
 ここでパパネックが語っているデザインとは主に、インダストリアルデザインのことを指しているのですが、広告デザインにもまったく同じことがいえるのではないでしょうか。パパネックが『生きのびるためのデザイン』のなかで具体的に生態学的デザイン(環境に優しいデザインのはしり)を提唱したように、アートビリティでも世の中に対して「社会的に意味あるデザイン」の提案をおこなっていきます。そして、その具体案としてアートビリティが掲げているのが障害者アートを全面に押し出したデザイン運動であるというわけです。
 小さな団体ではありますが、いつの日かこの活動を社会的にも大きなムーヴメントにしたいと夢見ております。
 みなさまのご協力をよろしくお願い申しあげる次第です。

「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」のこと─其の弐─_e0031863_1918256.jpg
最初季刊誌を目指して始めたのだが、何せ僕と以前にも紹介した元CPCのN女史(彼女もアートビリティ・アンド・アソシエイツのメンバーだった)と、ほとんど2人で企画・編集・デザイン・印刷管理・発送をこなさねばならず、発行が遅れに遅れたりした。

「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」のこと─其の弐─_e0031863_19232032.jpg
そういう状況の中で、ついに1998年11月発行の第6号で休刊。
「アートビリティ・アンド・アソシエイツ」は、ほとんど個人レベルの活動で、微力ではあったが、それなりにいろんな成果もあった。それらについては今後、順次紹介していきたいと思う。

※なお、「アートビリティ通信」ですが少し残部があります。興味のある方には差し上げますので、ここのコメントを通じてご一報ください。

by LunaSmileDesign | 2005-09-19 19:36 | アートビリティ通信


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